ルピナスさん(原作、バーバラ・クーニー) | 名作絵本の紹介です
ルピナスさんは おばあさん。
ほんとの名ではないけれど、
今では みんなが そう呼びます。
ルピナスさんは 小さい頃、
三つ やくそくしたそうです。
ルピナスさんの おじいさんと。
世界ぢゅう 旅をすることと、
海辺のいえに すむことと、
この世を 美しく することと。
おとなになって、そのとおり
世界を旅して 戻ってきて、
うみべに 家をたてました。
家のまわりを たがやして、
ルピナスのたねを まきながら、
「約束は、まだ一つあるわ。」
なつかしい春が きたある日、
丘のむこうに いったとき、
そこは、ルピナスの花畑。
「わたしの庭の 花のたねを
風や小鳥が はこんだのね。」
そのとき 考えがわきました。
ルピナスさんは せつやくし、
たねをかいこみ、村をめぐり、
ルピナスのたねを まきました。
みんなは笑って いいました。
(きっと あたまが おかしいんだ。)
ルピナスさんは 平気でした。
(この世を すこしでも 美しく、
それが わたしの ねがいなの。)
そうして ふたたび 春がきて、
村は ルピナスの 花ざかり。
子供も 大人も よろこびました。
それから もっと としがたち、
ルピナスさんも としをとり、
花は いまでも ふえています。
ルピナスさんは おばあさん。
そして わたしの 大おばさん。
いつも、わたしに こう言います。
「世界を すこしでも うつくしく。
あなたが おおきく なったなら、
なにを そのために するかしら。」