童話(自作)
たんぼの かかしが 申しました。 「なんだ。とんと 見かけぬやつが、来たぞ。おどかしてやれ。」 ちょうど 春いちばんの 吹くころでした。 かかしは、その風に 身をまかせて、せいいっぱい 身ぶるいしました。 その目のさきには、夕ぐれのなかを、ひとりの男…
たんぼの かかしが 申しました。 「なんだ。とんと 見かけぬやつが、来たぞ。おどかしてやれ。」 ちょうど 春いちばんの 吹くころでした。 かかしは、その風に 身をまかせて、せいいっぱい 身ぶるいしました。 その目のさきには、夕ぐれのなかを、ひとりの男…