【あすなろ帖】創作・趣味と読書・あの世と宗教のお話

創作は童謡と詩。趣味は音楽鑑賞や折り紙。読書は哲学・宗教・小説・コミック等々。あの世の話や、また仏教・キリスト教・神道・新宗教等々、まだまだありますが、50年近く私の学んで来た事をご紹介したく思います。2019/10/5

hn鉄腕アトムの死んだ日 | ネタバレですが・・ロボットなのに死んだ??

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このタイトル、相当な手塚治虫ファンなら分かるかもしれませんが・・普通はねぇ・・・

ロボットがなぜ死ぬのか、壊れるんだろうって言うだろうと思いますよね。

ただし、アニメではどうか分かりませんが、原作のコミックでは、ある時アトムはお茶の水博士に

「僕たち(ロボットたち)
生きているんですよ」
と言う場面があります。

これを読んだ時は、おやおやと一瞬は思いましたが、確かに、如何にもアトムの言いそうなことだとも思いました。

という訳で、アトムには生前(?・・抵抗ありますか?)から、生きているという自覚があったのです。
ならば、壊れるのではなくて、死んだというのが相応しいのかも知れません。

さて、12月31日の今日は、テレビのモノクロの第1回シリーズのアトムの最終回でした。
この日、アトムは人類のために太陽に突入して死んだということになっています。
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残念ながら、アトムのこの回を私は見ていません。
YouTubeで見られるのかも知れないのですが、
なぜかYouTubeが不具合な状態です。
なので以下はサイトを検索して知ったことです。

アトムが死んだのちに、生き返らせて欲しいというファンからの要望は、やはり強かったようです。

そこで、太陽に突入する直前に助けられたという事にして、生きていた話を別に作ったのですが、やはり最終的には死を向かえることになっています。

ただ、この設定はやはり不自然さがありますし、いずれは死ぬところまで話を作るなら、最初の設定が一番アトムに相応しい気がします。

というのも、およそ手塚作品では、主人公が最後に死んでしまうというケースがよくありました。
そしてその死の多くが、アトムと同じように、ひとのために自分が犠牲になるという話なのであって、このことは、他の漫画家にはない、きわだった特長なのです。
(他の主人公たちの事は、また別のページに書こうかとも思います。)

そこで太陽に突入した理由ですが、未来に太陽の黒点に異変がおき、その影響で人類は地球に住めなくなり、別天地をもとめますが、滅亡まぢかという危機になるのです。

最終手段として、太陽の暴発を抑える物質を開発した人物がいて、アトムに託します。
私は見ていませんが、アトムも最初から太陽に突入しようとしたのではないだろうと思うのです。しかしハプニングがあり、アトムの体の一部が壊れて動かなくなってしまいます。そこで最終手段として、太陽に向かわざるを得なくなるらしい。

ところで、人々を救うために太陽とか他の星に突入してゆくという話は、アトムのこの回以外にも私の知る限りでは2つあって、いずれも手塚作品なのです。

とても偶然とは思えず、このテーマに手塚さんがこだわっていたと考えざるをえません。

1つは、NHKで何年か続いた『銀河少年隊』の一部。
詳しいことは覚えていませんが、ゴールドフィンガー(なぜか007の敵役の名をパクったらしいのですが悪役ではない)という男が登場します。

この男がただ1人犠牲になって太陽に突入してゆき、主人公の少年がその名を絶叫して死を悼む場面がありました。
たぶん、これも人類の危機を回避するとか、何らかの理由があった筈ですが、もう覚えていません。

そして、もう一つはアトムシリーズ。「地球最後の日」と言って、こちらの方がよく知られています。
登場するのはベムというロボットで、最初は少年らしく見えますが、最終的には男のふりをしていた少女だと分かります。彼女の存在は強力な爆弾とセットになっています。
そして彼女は、地球に衝突しようという星に向かってゆき、自爆することによって人類を救うのです。

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これがベムです。
この姿はやはり、天使のイメージでしょうね・・

まるで、のちのアトムの運命を予告するようだったと思うのは、私だけでしょうか。

というのも、彼女はアトムにとって特別な存在だったらしいのです。

いつだったか、アトムの番外編というような番組だったと思うのですが、私も見ていました。

その中で、アトムに司会者だったかが質問していました。
それは確か、ずいぶんと冒険がありましたが、忘れられなものはありますかという質問だったと思います。

それに対しては、どれもこれも貴重な思い出で、とても選べませんとかいうのが定番のように思います。

ところがアトムは何ら迷うこともなく、ベムのことが忘れられないと答えたのでした。

その時にアトムがなんと言っていたかは覚えていません。
ただ、のちにこれを見ていた人で、手塚プロの一員でもあった人が語ったという言葉があり、
「ああ、アトムはベムに恋をしていたんだなあ」と言ってなみだぐんでいたのですが、私もまったく同感だったことを思い出します。

アトムのこの恋は浮わついた思いなどではなくて、ベムの立派な行為への賛嘆の思いが根底にあったことは間違いないでしょう。

アトムが恋していたとして、ベムの方の思いはどうだったのか?
それはわかりません。
もちろん嫌ってはいなかったのですが・・
アトムが、ベムの正体が少女だったと知った瞬間は、すでにベムが自爆をすると語った時でもありました。